猫バス北海道漫遊 十日目 大樹町〜襟裳岬〜三石〜苫小牧〜室蘭〜洞爺湖〜真狩〜小樽

道の駅コスモール大樹の朝。
厚かましくも泊まってしまったが 後始末をちゃんとして たつ鳥跡を濁さず で行きたいと思う。

夜は雨が降らず 霧は出ているが 曇り空のまま。

朝 会社からメールが届いた。

「もう一日 休みを伸ばしてやる ゆっくりしてこい」

実は出発前にも 同じ事を言われたが この時はまだ本決まりではなく はっきりした命令ではなかったので 期待していなかったのだ。

さてどうしよう?
急に言われても 準備ができていない。
私の持っている船券は19日小樽発。今日の日付だ。
一日伸ばしだと 20日の券が必要だ。

今日帰るつもりで小樽まで行き 移動中にフェリー会社に電話して 明日帰る便に空きがないか聞いてみようと思う。
一人分くらいなら なんとかなるだろう。

金沢の大学生のバイクは小さいので 軒に入れたようだ。

バイクを大事にすることは ツーリングライダーにとって大事なことだ。

彼はまだ起きてこない。
私より残された時間がずっと多いのだ。

のんびりツーリングをするとよい。
ただし このバス停は早く出たほうが良い。
バス利用者の迷惑になるから。
大樹町から襟裳岬方面へ回る。
時折渡る橋から見える川は 澄んだ水をたたえ 濁りは見られない。

 どうやらこのあたりの山では たいした雨は降らなかったようだ。

岬に向かうにつれ 霧は深くなり しかも風が冷たく寒いくらいだ。


襟裳岬の手前の国道は 「黄金道路」と呼ばれる。
建設する時 莫大なお金がかかって 黄金を敷き詰めたように建設資金がかかった道路の意味なのだ。
海すれすれの海岸道路は トンネルが多く 走りにくい。

襟裳岬では 霧で前が見えなくなり 行った意味がなかった。

襟裳岬から先のR235は お天気だった。
三石の道の駅で 道路公団のサービスマンが 検問をして道行く車に何か話している。
「この先とおれません」「 昨日の雨で国道の橋が冠水して 危険なので橋を通行止めにしました」

聞いてみると 「この先の国道は 富川町というところで 通行止めになっていて 苫小牧方面へ行くには 300kmくらい迂回しなければ行けません」・・・・・・・・・

疑うわけじゃないが とりあえず通行止めのところまで 行ってみることにした。

途中富川のドライブインに立ち寄るが サイドスタンドをだして バイクを降りると スタンドを出す角度が浅く バイクがぐらっと来て 両手で倒れるバイクを支えるはめになってしまった。

おっとっとっと・・・んんんんんっ

普段ならなんとか堪えることができたが 荷物満載の猫バスは 300kgを軽く越えている。

堪えきれず バイクをゆっくり地面に倒す。

  うはぁー・・・・・・


それからが たいへん。

どうしても持ち上がらない 地面は滑るし タイヤは外へ逃げるしブレーキをかけて持ち上げれば 力が入らない。

そのままの姿勢でしばらくバイクを保持しながら 小さな声で ・・・・・・誰かたすけて・・・・・・とつぶやくと ふっと軽くなってバイクが立ち上がった。

そのままスタンドを立て 横を見ると 縞のシャツの飛脚便の屈強なお兄さんが バイクを押さえて笑っていた。

「ありがとうございます 助かりました ありがとうございます  ありがとうございます・・・」
何度も礼をいいながら 頭を下げた。

地獄に仏 本当に助かりました。

幸いバイクのほうは ゆっくり倒したこと サイドの荷物がクッションになったこと そしてエンジンガードを装備していたことなどで 傷もなく事なきを得た。

  はあぁー・・・・  し・ん・ど

安心したのか おなかが減って レストランにふらふらと入った。

メニューにちゃんこラーメンなるものがあったので 尋ねてみると テーブルの上でコンロを持ってきて煮る鍋物らしい。


今日も朝から富川は 気温27度を越えている。
とても熱い鍋物は食べられない。


汗をかかない 夏向けのメニューはないかと聞いてみると「冷やしラーメン」なるものがあるらしい。

興味シンシンで頼んでみると 普通の冷やし中華が出てきた。

所変われば品変わる。

たしかに 「ラーメン」=「中華そば」ではあるが・・・・

店の前でバイクを倒したから「冷や汗」の冷やしかも・・・・(汗;)

富川市内に入った。
増水している沙流川(さるがわ)を渡る。
大きな河川で 川幅が広く 橋の下まで高さもあるが 増水した水が 橋下ぎりぎりまで来ている。

なんとか渡ることができたが 橋のたもとの道路周辺は 川から溢れた泥がこびりついて 茶色く変色していた。

川を渡れてほっとしたのもつかの間 本当に今も冠水して渡れないのは 次に向かう橋だと知って 緊張した。


分りにくい画像ではもうしわけないが よく見ると 国道が通行止めになっているのが分るだろうか?

この先は鵡川を渡る橋があり 河川の増水により 橋の上まで冠水しており 危険なので渡れないのだ。

警察が迂回路を指示し 通行車両は 全部上流の橋に迂回させられている。

私も指示されたコンビニ方向へ右折する。


これが増水した鵡川。
普段は穏やかな流れで 河川敷は子供の遊び場などにもつかわれている。

この川は 有名なところでは 日本産の本物の「ししゃも」の捕れる 唯一の河川だ。

川幅いっぱいになった溢れそうな水は 国道の橋の上にまで溢れ出し かなり危険な状態だ。

我々が迂回して渡った橋は かなり高いところまでアーチしており しっかりした立派な橋だった。

国道の橋も 同じように作ればいいのに・・・・・・

無事渡り終えたあとは 先へ進み 苫小牧 室蘭と海岸線を突き進んだ。

昨日からの雨と 今日走った泥水の浮いた道路のためか バイクはドロドロに汚れてしまった。

テールランプもウィンカーも テールカウルもマフラーも 砂まみれになって白く浮いている。

サイドバックとリアバックはきれいだが カバーをつけていたためだ。
そのかわりカバーは汚れて真っ白だ。

どこかで洗車したいものだが 明日までやめておこう。
私が洗車すると きまって雨が降るから(笑)


室蘭の先あたりだろうか 休憩と水分の補給に ドライブインに立ち寄った。
バスから中国人観光客が沢山降りてきた。

とてもマナーが悪くて やりたい放題だった。

試食コーナーで あるものみんな食べるだけ食べて ひとつとして買わない。

果物を触るだけ触って 傷をつけて買わない。

商品を手にもって さも自分が買ったように見えるように一緒に記念写真にとって それも買わない。

彼らが去ったあとは嵐の過ぎた後のようだった。

勿論こんな人達は ごく一部なのだろうが 傍若無人という言葉がぴったりの人達だった。

一昔前の 高度成長時代の日本人も 外国ではこんな感じだったのだろうか・・・?


フェリー会社に電話すると 幸い明日の2等船室の券がとれた。
ただしバイクの分はなし。
またしばらくしたら電話しよう。

道の駅虻田
駐車場も道路も ななめった場所にあった。

暑くなって 売店で生のニンジンジュースを買って飲んだ。

湿度は本州よりうんと低いけれど 気温は本州と変わらない。

日影に逃げ込めば 暑くはないが ひなたにいると じりじりと痛いくらいに 日差しが肌をさす。

こちらのアスファルトは 冬向きの設計の為 このような気温30度を越える時には 表面が柔らかくなってしまう。

バイクのスタンドは地面にめりこみ ヘタをするとバイクがバランスを失って 倒れてしまうので 注意しなければならない。

もう二度と 起こすのは嫌だ。

洞爺湖から真狩(まっかり)村にはいる。

真っ直ぐ羊蹄山に向かう道が気に入って 少し回り道する。

蝦夷富士の異名があるこの山は独立峰で 付近のどこからも見え まことに美しい。
コニーデ型の山は ○○富士と呼ばれるが 総じてどれも美しい。

北海道なら 函館の手前の駒ケ岳 利尻島全体が山の利尻富士などが有名だが 私は羊蹄山が一番のお気に入りだ。
この道は大好き。グルグルと一周したこともあるくらいだ。

真狩村から京極へむかう。

毎年訪れる 京極村の名物「羊蹄のふきだし湧水公園」は 私の大好きな場所。

羊蹄のふきだし湧水というのは 羊蹄山に降った雪や雨が滲み込み 何十年とかけてふもとのこの場所に 伏流水として出たところ。

湧水量がずば抜けて多く(湧水量一日約8トン)
 プールの詮を抜いた時のように 大量の湧き水が噴出すように出ている。

この水は 年間を通じて水温約6.5℃しかなく 特に夏には美味しさを堪能できる。

味は柔らかくすっきりしている。
地元の人は沢山の水タンクを持ってきて 何本も汲んでもって帰るのだ。

私はマグカップ一杯だけいただく。
乾杯!

今年もここに来ることができた。
ありがとう!


京極から 倶知安 余市と走って 小樽には早く着いた。

小さなバイクで移動したら 同じ距離を一日でたどり着けるかどうか・・・?(いや やれといわれれば やりますが:笑)

運河傍の「小樽運河食堂」はテナントが ほぼ全部入れ替わっていて ラーメン屋が減って そのかわりにバイキングレストランや 海鮮丼 スープカレー屋など 道外の観光客に的を絞った品揃えの店に変わっていた。

地元客には人気がないようだ。

小樽港にきて 明日の船券があるか調べることにした。

窓口で検索してもらうと バイクの分も空きが見つかった。
さっそく持っている 今日乗る乗船券を 明日乗る乗船券と交換してもらい、私の北海道での命が一日延びた。

諦めかけていただけに とても嬉しかった。




そこへ現れたのが 毎日メールをくれる ボルティさん。
ニヤーッとして いかにも嬉しそうだ。

彼は明日帰る切符を持っているのだが キャンセル待ちの手続きをして 今日帰るらしい。

私が明日帰ることになったことを告げると 怒ったり落胆したり・・・

どうやら一緒に帰るのを楽しみにしていたらしい。


怒る彼をなだめすかし 小樽倉庫1へタクシーで連れて行った。

彼の北海道話を聞いて 驚いた。

私の三日後 小樽に上陸し 一日目はオスパに宿泊 二日目から小樽を中心に 札幌 洞爺湖 留萌 積丹と ごく近場をぐるぐるまわっては 小樽に戻りずっとこの圏内にいて 広い北海道を小さく回ったそうだ。

せっかく取れた夏季休暇を もっと有効に使えばいいのに・・・と思ったが どうやら一昨年のように 私を待っていたようだ。

私の行動がめまぐるしすぎて読めないため 帰りを捕まえるつもりだったらしい。

どうりで2,3日前くらいからメールで 早く小樽へ帰れよ・・・と呼びかけてきた。


彼は船に乗るときのことを考えて アルコールは飲まず おかずだけを食べた。
このへんは彼は正気だ。

私は今日はもうバイクに乗らないため  ビールをいただいた。

北海道に来ても 大阪で話すときと同じ内容を彼は話す。

まず彼は毒づいた。
「だいたい俺は お前のホームページが一番嫌いや」

ほらきた。かなり怒ってるなぁ。
 まあ冷静に聞きましょ。

しらふではとても聞けないなぁ 
もっとビールを頼もう。

仕事の話 上司の話 友人の話 ・・・・

ふーん これが話したかったのかぁ。

そういえば 最近忙しくて 彼に会うことができず 愚痴を聞いたり 空気抜きをしたりしてないなぁ。

ごめんよ。

でも あんまり怒るなよ。
身体に悪いから。


彼が今日帰るための チケット交換に付き合う。

このまま チケット交換をしなければ 明日の便で一緒に帰れるよ・・・と私が言ったが 彼の意思は翻らなかった。

ほんとに怒っているなあ。。

大阪に帰ったら ちゃんとケアします。

怒りすぎて 帰り道 事故らないかなぁ

その後 彼はバイク上船埠頭に消えていった。
実はもう一組 会いたい人がいらっしゃる。

一昨年 網走呼人浦キャンプ場でご一緒した ZZR-1200さんが 今年は婚約者さんを連れて 北海道旅行に来られている。(移動はレンタカー)

私の帰る便で 一緒に帰ることになっていたのだ。

積もる話もあり ご一緒したかったのだが 「都合でご一緒できません・・・」というメールを 私から差し上げていた。

しかしやはりお祝いの言葉を直接言いたくなって連絡し 出航直前になって 会うことが出来た。
良い女性にめぐり合えて とても嬉しそうな彼を見て 私も幸せな気分になった。

思い切って会いに来て良かった。

お二人の未来に幸あれ。。。。
さよならボルティさん さよならZRX12Rさん達

なんか湿っぽくなるので 早めにオスパに引き上げた。

オスパの2階で横になっていると ボルティさんから メールが届いた。

「明日から またわからずやの上司としごとや・・・」

  まだまだ言い足りないようだ・・(笑)

とりあえず 機嫌が直って よかった。

明日はもうひとつイベントが待っている。

今日はちょっと疲れた
 
おやすみなさい。

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